大学病院で看護師をしている小林由香です。
今年で看護師歴22年、現在は主任として病棟を回しています。
3年前にNISAを始めたのをきっかけに、少しずつ資産運用の世界に足を踏み入れました。
きっかけは息子の教育費です。
シングルマザーなので、自分の稼ぎだけで将来に備えなくてはいけません。
コロナ禍のとき、病棟は連日満床でした。
社会が一変する瞬間を目の前で見て、「当たり前はいつ崩れてもおかしくない」と痛感しました。
それ以来、お金の置き場所について真剣に考えるようになったんです。
そんな中、最近ずっと頭にあるのが「実物資産」という言葉です。
きっかけは、祖母から受け継いだ一本の金の指輪でした。
この記事では、金の指輪をきっかけに実物資産としての金について調べたこと、考えたことを書いていきます。
投資の専門家ではない、ごく普通の看護師の視点です。
同じように「金って気になるけど、よくわからない」と感じている方に、少しでも参考になればと思います。
目次
祖母の指輪が教えてくれたこと
祖母が亡くなったのは6年前のことです。
遺品を整理していたとき、母から小さな箱を渡されました。
中に入っていたのは、18金の指輪。
祖母が若いころに買ったもので、50年以上前のものだと聞いています。
デザインは今の感覚で見ると少し古い。
でも、金そのものの輝きはまったく変わっていませんでした。
手に取ると、ずしりと重い。
アクセサリーとして使うにはゴツいけれど、その重さが妙に頼もしく感じられました。
母は「おばあちゃん、何かあったときのためにって持ってたのよ」と言っていました。
戦後の混乱を経験した世代には、「いざというとき、金だけは裏切らない」という感覚があったのだと思います。
実は、受け取った当初は「売ったらいくらになるんだろう」と考えたこともあります。
でも買取店に持っていく気にはなれませんでした。
金額の問題ではなく、この指輪には50年分の「持っていてよかった」が詰まっている気がしたからです。
当時の私には、正直「金を資産として持つ」という発想がありませんでした。
でも今、自分で資産運用を考えるようになって、あの指輪の意味がようやくわかります。
株式は企業が倒れれば紙くずになります。
預金も、銀行が破綻すればペイオフの上限(1,000万円とその利息)までしか保護されません。
でも金は、50年経っても金のままでした。
コロナ禍のとき、経済がどうなるか誰にもわからない時期がありました。
株価は急落し、先の見えない不安が社会全体を覆っていた。
あのとき、もし祖母のように金を持っていたら、少しは気持ちが違っただろうか。
そんなことを考えるようになりました。
それが「実物資産」ということなのだと、祖母の指輪に教わりました。
「実物資産」としての金の特徴
金が資産として注目される理由を、自分なりに調べてまとめてみます。
価値がゼロにならない
金の最大の特徴は、何千年もの間「価値あるもの」として扱われ続けてきたことです。
古代エジプトの時代から装飾品や通貨として使われ、現代でも各国の中央銀行が外貨準備として大量に保有しています。
株式や債券と違い、発行体が存在しません。
企業の業績にも、国の信用にも依存しない。
どこかの会社が潰れたから価値がなくなる、ということが起きません。
さらに、どの国に持っていっても換金できる普遍性がある。
日本円が信用を失っても、金は金のままです。
三井住友銀行の解説でも、金は「インフレに強い実物資産」として資産の一部に組み込む価値があるとされています。
インフレ・円安局面に強い
物価が上がると、現金の価値は目減りします。
スーパーで買い物をしていても、卵や米の値段がこの数年で明らかに上がったのを感じます。
銀行に預けているだけでは、お金の実質的な価値がじわじわ削られていく。
一方で金は、インフレ局面で価格が上がりやすい傾向があります。
物価が上がる局面では「現金よりも実物」に資金が流れるためです。
実際、国内の金小売価格は2022年以降の円安・インフレ基調の中で大きく上昇しました。
田中貴金属工業の金価格データによると、2026年1月にはグラムあたりの店頭小売価格が過去最高値を記録しています。
ただし「ずっと上がり続ける」わけではありません。
2026年6月時点の価格は23,000円台で、最高値からは調整が入っています。
長期では上昇傾向でも、短期では数千円規模の上下動がある。
そこは冷静に見ておく必要があります。
デメリットも知っておく
金投資にはメリットばかりではありません。
公平に書くと、以下のような弱点もあります。
- 利子や配当がつかない(持っているだけでは増えない)
- 売買時の手数料(スプレッド)が相対的に高め
- 短期売買で利益を出すのは難しい
NISAで投資信託を積み立てている身としては、「配当がない」というのは最初に引っかかったポイントでした。
投資信託なら分配金が出るし、株なら配当がある。
金は持っているだけでは1円も生み出しません。
でも金は「増やすため」ではなく「守るため」に持つ資産だと考えると、この弱点は受け入れられます。
資産全体の中で「攻め」と「守り」の役割分担をすればいい。
NISAで増やして、金で守る。
そう考えたら、配当がないことはそこまで気にならなくなりました。
金の持ち方にはいくつかの選択肢がある
「金を持ちたい」と思ったとき、方法は一つではありません。
調べてみると、思っていたよりも選択肢が多くて驚きました。
主な方法を表にまとめてみます。
| 方法 | 現物が手元に残るか | 少額から始められるか | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 金地金(インゴット) | ○ | △(まとまった資金が必要) | 大口購入向き、スプレッドは比較的小さい |
| 投資信託・ETF | ×(ペーパー資産) | ○ | 売買しやすくNISA活用で売却益非課税も可能 |
| 純金積立 | △(受取時に現物化可能) | ○ | 月々定額でコツコツ、ドルコスト平均法 |
| 金貨積立 | ○ | ○ | 政府保証の金貨を計画的に積み立てる |
金地金(インゴット)は、いわゆる「金の延べ棒」です。
まとまった量を一度に買うならスプレッド(売買の差額)が比較的小さくて有利ですが、500gや1kgの地金を買おうとすると数百万円単位の資金が必要になります。
看護師の給与でいきなり手を出せる金額ではありません。
投資信託やETFは、NISAの枠を使えば売却益が非課税になるメリットがあります。
売買も手軽で、スマホ一つで完結する。
効率を重視するなら合理的な選択です。
ただし、あくまで「ペーパー資産」なので、金の現物が手元に届くわけではありません。
純金積立は、毎月一定額を積み立てて金を少しずつ買っていく方法です。
ドルコスト平均法で購入単価を平準化できるのがメリット。
ただ、積み立てた金を現物で受け取るには別途手続きが必要だったり、手数料がかかったりするケースもあります。
そして金貨積立。
政府保証付きの金貨を毎月計画的に積み立てていく方法です。
現物のコインが手元に届くのが最大の特徴で、「触れられる資産」を持てる。
この中で私が惹かれたのは、最後の「金貨積立」でした。
「手元に届く金」に惹かれた理由
祖母の指輪を手に取ったときの感覚が、ずっと残っていました。
画面の中の数字ではなく、実際に手で触れられる金。
あの重さと輝きが持つ安心感は、投資信託の評価額を眺めていても得られないものです。
証券口座にログインして「プラス3%」と表示されても、正直あまり実感がわきません。
でも金貨を手のひらに乗せたら、その価値は目で見て、重さで感じられる。
理屈ではなく感覚の話ですが、この「安心感の手触り」は私にとって大事な要素でした。
看護師の仕事は、日勤と夜勤の繰り返しです。
相場を毎日チェックして売買のタイミングを計るような投資は、正直向いていません。
「放っておいても勝手に積み上がっていく仕組み」が私には必要でした。
金貨積立という方法を知ったのは、そんなことを考えながら情報を調べていたときです。
政府保証付きの金貨を毎月少額ずつ積み立てていけると知って、これは自分に合うかもしれないと感じました。
調べていく中で目に留まったのが「ゴールドコイン積立くん」というサービスです。
一般的な積立は「毎月定額を投じて、そのときの価格で買える量を買う」ドルコスト平均法が多いのですが、このサービスは発想が逆になっています。
最初に「いくら分の金貨を買うか」というゴールを決めて、そこから月々の積立額を逆算する仕組みです。
金価格が上がっても支払総額が変わらないので、計画が立てやすい。
夜勤と日勤を交互にこなす生活の中で、相場を気にせず続けられるのはありがたいと思いました。
取り扱っているのはウィーン金貨やメイプルリーフ金貨といった、政府保証付きの法定通貨コインです。
ウィーン金貨はオーストリア造幣局が発行する世界的に有名な金貨で、メイプルリーフ金貨はカナダ政府が保証しています。
どちらも国が品質を保証しているので、「本物かどうか」を心配する必要がありません。
途中でやめることもできるし、必要なときに必要な分だけ換金もできる。
コインを手元に受け取ることも、売却して現金化することも選べます。
生活の先が完全には読めないシングルマザーにとって、この柔軟さは大きな安心材料です。
全国に支店があり、対面で相談できるのも個人的には好印象でした。
画面越しのやり取りだけでなく、実際に人と話して納得してから始められるのは、大きな買い物をするときに大事なことだと思います。
興味のある方は、株式会社ゴールドリンクが提供するゴールドコイン積立くんの公式サイトで詳しい仕組みを確認できます。
金は「受け継げる資産」でもある
祖母から母へ、母から私へ。
あの指輪は50年以上の時間を超えて、家族の手を渡ってきました。
金を「資産」として見たとき、この「受け継げる」という性質は見逃せません。
株や投資信託も相続はできますが、証券口座の名義変更手続きが必要で、受け取る側にもそれなりの金融リテラシーが求められます。
一方、金の現物は直接手渡せます。
「これ、あなたのために積み立てていたの」と金貨を渡す。
その行為自体に、数字では伝わらない重みがある。
税制面も調べてみました。
金地金や金貨を売却して利益が出た場合、譲渡所得として課税されます。
特別控除が50万円あり、5年以上保有していると長期譲渡所得の扱いになって税負担が軽くなります。
相続で取得した金は、前の持ち主の取得価額をそのまま引き継げるのもポイントです。
詳しくは国税庁の「金地金の譲渡による所得」の解説ページに記載されています。
つまり、長く持つほど税制上は有利になる。
これは「短期で売買するものではなく、じっくり持つ資産」という金の性格とも合っています。
私が金貨の積立に興味を持ったのは、息子のことも頭にあるからです。
今は中学2年生。
あと数年で高校、大学、そして社会へ出ていく。
18歳になったとき、20歳になったとき、社会に出るとき。
節目に金貨を1枚渡せたら、それは貯金通帳の数字よりも重みのある「おまもり」になるんじゃないかと思っています。
通帳の数字はすぐに使って消えてしまうけれど、金貨は手元に残る。
「困ったときはこれを持っておきなさい」と、祖母が母にそうしたように。
まとめ
祖母の金の指輪から始まった「実物資産」への関心は、調べれば調べるほど奥が深いものでした。
金は、株のように短期で大きく増える資産ではありません。
配当もつかないし、手数料もかかる。
それでも「価値がゼロにならない」「インフレに強い」「世代を超えて受け継げる」という特性は、他の資産にはないものです。
資産運用というと「いかに増やすか」に目が行きがちですが、「いかに守るか」という視点も同じくらい大事だと思っています。
特に、自分一人で家族を支えている立場では。
看護師としてコロナ禍を経験し、「当たり前が一夜で崩れる」ことを肌で知りました。
だからこそ、資産の一部を「何があっても残るもの」に変えておきたい。
NISAで増やしつつ、金で守る。
その両輪が、今の私にとってはしっくりくるバランスです。
大事なのは「正解を選ぶこと」ではなく、自分に合った守り方を見つけること。
この記事が、同じように資産運用を考えている方にとって、何かのきっかけになれば嬉しいです。
